銀行と信用創造|第2話・約3分
パン屋さんが、新しいオーブンを買うために銀行から100万円を借りることになりました。
たけちゃん「その100万円、誰かが預けたお金を持ってくるの?」
パパ「そう思うよね。でも、銀行がパン屋さんの口座に貸したお金を入れるときは、新しい預金が生まれるんだ。」
貸すときに、預金が生まれる
銀行が審査をして貸すと決め、パン屋さんの口座に100万円を入金します。ここでは、もとの残高を0円としましょう。
使える預金:0円 → 100万円
銀行に返す借入金:0円 → 100万円
この瞬間、別のお客さんの預金が100万円減るわけではありません。銀行が貸し出すことで、パン屋さんの預金が新しく増えました。
このように、銀行の貸出によって預金というお金が生まれる仕組みを「信用創造」と呼びます。お札を印刷しているのではありません。
数字だけ書けばいい、わけではない
前の話で、預金は「銀行に支払いを求められる権利」だと学びました。新しく生まれた100万円も同じです。パン屋さんは、オーブンの代金の振り込みに使えます。
一方、銀行には二つの記録ができます。
パン屋さんの預金について100万円を支払う義務
銀行は、借り手が返せるかを審査し、振り込みや引き出しに応じる資金も用意する必要があります。「自由に数字を増やせばよい」という仕組みではありません。
預金が増えたら、もうかった?
たけちゃん「じゃあ、パン屋さんは100万円もうかったの?」
パパ「使えるお金は増えた。でも、返す約束も100万円増えているよ。」
借りた直後の預金から借入金を引くと、100万円 − 100万円で0円。借りただけで、差し引きの財産が増えたわけではありません。
ただ、今すぐオーブンを買い、パンを作る準備はできます。売上を得て返していけるかどうかは、その後の商売次第です。
今回の気づき
銀行が貸すと、使える預金と返す義務が同時に生まれる。お金が生まれることと、もうかることは違う。
試しに「借りた100万円をオーブン屋さんに払ったら、借金も消える?」と考えてみてください。消えません。預金の持ち主が変わっても、パン屋さんの返す約束は残ります。次は、このお金の移動を追いかけます。
会話・金額は説明のための例です。銀行が借り手の口座に入金する貸出を扱い、利息・手数料は省略しています。銀行間の支払いは第3話、貸出の制約は第4話で扱います。
参考:イングランド銀行「Money creation in the modern economy」(貸出による預金の創造と、その制約)