銀行と信用創造|第5話・約3分
銀行から100万円を借りて、オーブンを買ったパン屋さん。今度は、パンを売って得た預金から、借りたお金の一部を返します。
たけちゃん「返した10万円は、銀行のもうけになるの?」
パパ「借りた分を返すことと、利息を払うことは別なんだ。まずは借りた分だけ見てみよう。」
預金と借金が、一緒に減る
借りた金額そのものを「元本」といいます。同じ銀行の預金口座から、元本を10万円返す例です。返す直前に預金が30万円、借金が100万円あったとすると、こう変わります。
- パン屋さんの預金:30万円 → 20万円
- パン屋さんの借金:100万円 → 90万円
銀行の側でも、「返してもらう権利」と「預金者に支払う義務」が10万円ずつ減ります。元本10万円が、そのまま銀行の利益になるわけではありません。
買い物と、返済は違う
お店に10万円を払うなら、自分の預金が減る代わりに、お店の預金が増えます。でも、銀行への元本返済では、同額の預金が別のお客さんに移るわけではありません。
たけちゃん「使うと持ち主が変わる。返すと、預金そのものが減るんだ。」
パパ「そう。『返済でお金が消える』というのは、ここでは預金としてのお金が減ること。お札を燃やす話じゃないよ。」
利息や、返せない場合は?
利息は元本とは別に払う、借りることの対価です。銀行の収益になりますが、そこから資金を集める費用や人件費などもまかなうため、全部が利益ではありません。
返せなくなった場合も、返済とは違います。銀行が回収できない分を損失として処理しても、パン屋さんが以前払ったオーブン屋さんの預金が、自動的に消えるわけではありません。
今回の気づき
銀行の貸出で預金が生まれ、買い物で持ち主が変わり、銀行への元本返済で預金が減る。同じ「口座からお金が出る」でも、その先で起きることは違う。
身近な振り込みも、「誰かへの支払いか、銀行への返済か」と見ると違いが分かります。世の中のお金は、決まった量が回り続けているだけではない。これが、全5話を通じてたどってきた銀行の働きです。
会話と金額は説明のための例です。銀行が保有する貸出の元本を、同行の預金から返済する場面に絞っています。現実の預金全体は、新たな貸出など他の取引によっても増減します。
参考:イングランド銀行「Money creation in the modern economy」(貸出による預金の創造と返済による減少)