100万円の村|全2話・第1話
銀行は、お金を貸すことで、世の中で使えるお金を増やします。どういうことなのか、小さな村の話で見てみましょう。
村に100万円がやってきた
パパ「ある村に、Aさんが外で働いて稼いだ100万円を持って帰ってきました。1万円札が100枚。村の人が持っているお金は、最初はこれだけです」
たけちゃん「うん」
パパ「村には銀行の支店が一つあります。Aさんは、すぐには使わない100万円をそこに預けました」
現金は銀行の金庫へ。Aさんの通帳には「100万円」と記録されました。
そこへ、パン屋を始めたいBさんが来ました。
オーブンを買うために、100万円を借りたいといいます。銀行は商売の計画を調べ、返してもらえる見込みがあると判断しました。
パパ「銀行はBさんの口座に、貸すお金として100万円を入れました」
たけちゃん「Aさんの口座から移したの?」
パパ「いいや。Aさんの口座は100万円のまま。Bさんの口座にも、新しく100万円が入ったんだ」
たけちゃん「え? 金庫には100万円しかないよね?」
二人とも、100万円使える
Bさんは「オーブンの代金を現金で払いたい」と言って、口座に入った100万円を全額引き出しました。
銀行は金庫の現金100万円を渡します。Bさんの口座残高はゼロになり、金庫も空になりました。
たけちゃん「これで現金は、全部Bさんが持ってるんだね」
パパ「そう。では、Aさんの口座はいくら?」
たけちゃん「さっき減らしてないから……100万円?」
パパ「そのとおり。Aさんは、その100万円を振り込みなどの支払いに使える。Bさんも、受け取った現金でオーブンを買えるね」
パパは紙に書きました。
| 持っている人 | 支払いに使えるお金 |
|---|---|
| Aさん | 口座に100万円 |
| Bさん | 手元の現金100万円 |
| 合計 | 200万円 |
たけちゃん「本当だ。最初は100万円だったのに、二人とも100万円使える」
増えたのは、いつ?
パパ「どこで増えたか、少し戻ってみよう。Aさんが預けたときは、現金100万円が口座の100万円に変わっただけだったね」
たけちゃん「うん。まだ100万円」
パパ「でも銀行がBさんに貸したときは、Aさんの残高を減らさずに、Bさんの口座へ100万円を入れた」
たけちゃん「そこで200万円になったんだ。その後Bさんが引き出したのは、口座のお金を現金に替えただけ?」
パパ「そう。それが、銀行が『お金を生み出す』という意味なんだよ。貸出によって新しい預金が生まれる。これを信用創造というんだ」
たけちゃん「じゃあ、Bさんは100万円もらえて得したね」
パパ「借りたお金だから、100万円を返す義務は残っているよ。自由にもらえたわけではないんだ」
そこへ、Aさんが来た
たけちゃん「……でもさ。Aさんも現金が欲しくなったら?」
パパ「では、Aさんがパソコンを買うために、10万円を引き出しに来たとしよう」
Aさんが銀行の窓口で言いました。
「口座から10万円、現金でお願いします」
たけちゃん「待って。金庫、空っぽだよ?」
銀行が貸すとき、誰かの預金を減らさずに、借りる人の預金が新しく生まれる。こうして、世の中で使えるお金が増えるのが信用創造です。
でも、口座の数字が増えても、金庫の現金まで増えるわけではありません。
※仕組みを見やすくするため、支店の現金がゼロになる極端な場面を使っています。実際の銀行は、日々の引き出しを見込んで現金を管理しています。