新NISAを活用したオルカンとVYMへの投資戦略

退職後の生活資金の確保に関する一般的な戦略として知られる「4%ルール」にはいくつかの限界があります。この記事では、「4%ルールの実践とその限界について」という記事を紹介した上で、その限界を補うための新しいアプローチとして、オルカンとVYMの併用戦略を探ります。

4%ルールの実践とその限界

「4%ルール」とは、退職後の生活資金を計画的に管理するための一般的なガイドラインです。具体的には、退職後の最初の年に投資ポートフォリオの4%を引き出し、その後はインフレ率に応じて引き出し額を調整するというものです。これにより、長期にわたる退職生活でも資産を維持できるとされています。

しかし、このルールにはいくつかの限界があります。市場の変動性やインフレ率の変化、個人のライフスパンの不確実性など、多くの要因が影響します。特に、市場が低迷している時期にこのルールに従うと、資産が早期に減少するリスクが高まります。また、生活費が予想以上に増えることもあり得ます。

このような状況を考慮すると、4%ルールはあくまでガイドラインであり、個々の状況に応じた柔軟な対応が必要です。資産の安全性を確保しつつ、必要に応じて投資戦略を調整することが重要となります。さらに、定期的な見直しを行い、市場の状況や個人の財務状況に応じて引き出し戦略を調整することが求められます。

オルカンとVYM併用戦略の提案

「4%ルール」が提案する安定したリタイアメント資金の引き出し戦略は、理想的な市場条件の下ではうまく機能する可能性がありますが、市場の変動や経済状況の変化には必ずしも対応できません。これに対処するために、オルカンとVYMという二つの異なる資産クラスを組み合わせることで、リタイアメント資金の安定性と成長の可能性の両方を目指す新しい戦略を提案します。

オルカンは安定した基盤を提供し、長期的な成長を促進することが期待される投資信託の一例です。一方、VYMは高い配当利回りを特徴とするETFであり、収益性の高いアセットを含んでいます。これら二つを組み合わせることで、市場の変動に強く、かつ配当による収入を期待できるポートフォリオを構築することができます。

提案された戦略では、オルカンに新NISAの積立枠上限である600万円、VYMには1200万円をそれぞれ投資します。この投資配分により、ポートフォリオは成長と収入の源泉の両方を確保することができ、リタイアメント期間中の不確実性に対応することが可能になります。

具体的な数値として、初年度に120万円の新規投資を行い、以後毎年同額を投資し続けると仮定します。年間リターン率はオルカンとVYMでそれぞれ7%とされています。これによる運用結果は、初年度でオルカンは128万円、VYMは257万円となり、合計で385万円の運用資産が形成されます。配当率は3%として、分配金としては初年度で約7.2万円が得られると予測されます。30年間にわたる投資の結果、オルカンは約4008万円、VYMは8015万円に成長し、運用結果合計は約11723万円に達すると予測されます。

シミュレーション結果

  オルカン VYM オルカン&VYM
年数 (1)新規投資額(万円) (2)残高 (3)年間リターン率 (4)運用結果 (5)新規投資額(万円) (6)残高 (7)年間リターン率 (8)運用結果 (9)配当率 (10)分配金 (11)運用結果小計 (12)運用結果合計
1年 120 120 7% 128 240 240 7% 257 3% 7.2 247.2 375.6
2年 120 248 7% 266 240 497 7% 532 3% 14.9 511.7 777.5
3年 120 386 7% 413 240 772 7% 826 3% 23.1 794.7 1,207.5
4年 120 533 7% 570 240 1,066 7% 1,140 3% 32.0 1,097.6 1,667.6
5年 120 690 7% 738 240 1,380 7% 1,477 3% 41.4 1,421.6 2,160.0
6年 738 7% 790 1,477 7% 1,580 3% 44.3 1,521.1 2,311.2
7年 790 7% 845 1,580 7% 1,691 3% 47.4 1,627.6 2,473.0
8年 845 7% 905 1,691 7% 1,809 3% 50.7 1,741.5 2,646.1
9年 905 7% 968 1,809 7% 1,936 3% 54.3 1,863.4 2,831.3
10年 968 7% 1,036 1,936 7% 2,071 3% 58.1 1,993.8 3,029.5
11年 1,036 7% 1,108 2,071 7% 2,216 3% 62.1 2,133.4 3,241.5
12年 1,108 7% 1,186 2,216 7% 2,371 3% 66.5 2,282.8 3,468.5
13年 1,186 7% 1,269 2,371 7% 2,537 3% 71.1 2,442.5 3,711.2
14年 1,269 7% 1,358 2,537 7% 2,715 3% 76.1 2,613.5 3,971.0
15年 1,358 7% 1,453 2,715 7% 2,905 3% 81.5 2,796.5 4,249.0
16年 1,453 7% 1,554 2,905 7% 3,108 3% 87.2 2,992.2 4,546.4
17年 1,554 7% 1,663 3,108 7% 3,326 3% 93.3 3,201.7 4,864.7
18年 1,663 7% 1,779 3,326 7% 3,559 3% 99.8 3,425.8 5,205.2
19年 1,779 7% 1,904 3,559 7% 3,808 3% 106.8 3,665.6 5,569.6
20年 1,904 7% 2,037 3,808 7% 4,075 3% 114.2 3,922.2 5,959.4
21年 2,037 7% 2,180 4,075 7% 4,360 3% 122.2 4,196.7 6,376.6
22年 2,180 7% 2,332 4,360 7% 4,665 3% 130.8 4,490.5 6,823.0
23年 2,332 7% 2,496 4,665 7% 4,991 3% 139.9 4,804.9 7,300.6
24年 2,496 7% 2,670 4,991 7% 5,341 3% 149.7 5,141.2 7,811.6
25年 2,670 7% 2,857 5,341 7% 5,715 3% 160.2 5,501.1 8,358.4
26年 2,857 7% 3,057 5,715 7% 6,115 3% 171.4 5,886.2 8,943.5
27年 3,057 7% 3,271 6,115 7% 6,543 3% 183.4 6,298.2 9,569.6
28年 3,271 7% 3,500 6,543 7% 7,001 3% 196.3 6,739.1 10,239.4
29年 3,500 7% 3,745 7,001 7% 7,491 3% 210.0 7,210.8 10,956.2
30年 3,745 7% 4,008 7,491 7% 8,015 3% 224.7 7,715.5 11,723.1

この戦略の鍵は、投資リターンと配当収入のバランスを取ることです。市場の上昇に依存するだけでなく、定期的な配当による収入を重視することで、より安定した資金フローを確保し、長期的な資産保全と成長を目指します。

結論/まとめ

本記事では、新NISAを利用したオルカンとVYMの併用戦略という、退職後の安定した収入を確保しつつ資産を成長させるための方法を提案しました。4%ルールの限界を補い、市場の変動に左右されずに着実な配当収入を得ることを目的としています。オルカンとVYMに投資することで、投資リターンと配当収入のバランスを取りながら、リタイアメント資金の安全性を高め、長期的な資産成長を促進することができると考えられます。

この戦略は、特に長期にわたって安定した収入源を必要とするリタイアメント期において、大きなメリットをもたらします。しかし、市場状況の変化に適応し、個々の投資目標やリスク許容度に応じて戦略を調整する柔軟性も必要です。投資は常に予測不可能な要素を含んでいるため、定期的なポートフォリオの見直しと、必要に応じた戦略の見直しは賢明なアプローチです。

結果として、新NISAを活用したオルカンとVYMの併用戦略は、安定した収入と資産成長の両方を求めるリタイアメントプランニングにおいて、有効な選択肢となるでしょう。投資家はこの戦略を自身の財務計画に組み込むことで、より充実したリタイアメントライフを享受することが期待できます。